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2006年10月18日 (水)

最期の言葉が・・・それかいっ!

ルースおばあちゃんは88歳。たまにずっと昔のことを昨日のことのように話すかと思えば、2時間前の昼食のことは覚えていないルース。スタッフの顔も覚えていますが、名前はちょっと無理なようです。誰であれ『ハニー』と呼べばきてくれるので覚える必要もないのでしょう。

『ハニー』と呼ばれれば、スタッフの人気も上々です。

もともと頑固なところもあったおばあちゃん、亡くなる2週間ほど前から何も食べなくなりました。点滴もチューブでの栄養も前もって拒否していた彼女にとって、食事を拒絶することは死期を近づけることを意味します。

語弊があるかもしれませんが、われわれの仕事のひとつは死期を予測することです。他州に家族がいれば3日以上前に連絡する必要が出てくることもあります。近場であれば2~24時間でよいこともあります。

ルースの状態は一刻を争うものではありません。蘇生拒否も宣言しているので、あとは家族に見守られながら息を引き取るのみです。食事を摂らなくなった時にも家族には連絡しましたが、改めて5日後、死期が近づいてきている旨伝えました。

7日目以降、目を開けることもなくなりました。遠方からも含めて最期の瞬間に立ち会うべく家族が集まります。彼女の最期を安らかなものにするために、家族は交代で聖書を読み始めました。

8日目のお昼過ぎ、皆が昼食の相談をしながら、それでもなお聖書の朗読が続く中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Shut Up !!』

 

 

 

 

それはまぎれもなくルースの声でした。

それから40時間の後、息を引き取るまでほかの言葉を発しなかった彼女の最期の言葉は『Shut Up』。家族が思っていたほど信心深くなかったのか、耳に近すぎたのか、もしかしたら聞き違いだったのか。結局全員が昼食にたった後、三々五々集まり始めてからは聖書の朗読のかわりに昔話が始まりました。結婚式の話、初孫の話、離婚再婚・・・

ルースが息を引き取ったとき、お孫さんが話していたのは、2度離婚して3度結婚したルースの夫がきっと待っているであろう天国での4度目の結婚式の招待状を作らなければ、という話でした。

ルースにとっては、聖書よりも聞きたかった話だったのかもしれません。

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コメント

わははは~!豪胆なおばあちゃんだなあ!
人の最期を笑って良いものなのかいまいち判断に困りますが、
いい話だと思います。ある意味理想的な死に様かも知れません。
ルースおばあちゃんは自分の生き方を貫いたんだねぇ。
まさしく最後の瞬間まで。

このシリーズ、私絶対好きになるなー。
こういう書き方すると不謹慎だけど、楽しみにしてます。
おそらくこんな風に笑える話ではないことの方が多いでしょうが。

投稿: midori_design | 2006年10月18日 (水) 07時06分

まぁ、涙、ナミダの話ならいくらでも出てきますが、
こんなのもありかなぁと。

まだ生きている人のこれからの死や
すでに亡くなった人のことを語るのが
常に不謹慎であるとは限らないと思います。

実話でありながら、死にまつわる話でありながら
何度か読み返したくなるような経験を積めるのは
辛くないといえば嘘になるけど、幸せです。

投稿: おみすけ | 2006年10月18日 (水) 08時48分

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